エアコンの定期点検や工事の試運転、修理の時にエアコンのデーターを取ります。
親方から「〇〇の温度は?」と聞かれても困らないように、各データーの取り方や取る場所を説明します。
エアコンのデーター
エアコンの定期点検で必要な基本的なデーターは
・高圧 低圧圧力
・吐出温度
・吸入温度
・クランクケース温度
・液冷媒温度
・冷却風温度(入口 出口)
・冷温風温度(入口 出口)
・運転電流 です。
これプラス 異音や汚れ、油のにじみの確認をします。
必要な道具
エアコンのデーターを取るには、それなりの道具が必要です。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1717-1-600x586.jpeg)
左の緑が 電流を測る「電流計(クランプメーター)」 です。
クランプメーターはクランプの部分が細くて大きく、本体が小型の物をお勧めします。
クランプ(ワッカの部分)を電線に挟むだけで、流れている「電流(アンペア)」を測れます。
ブレーカーがどれか判らない時でも、これがあればブレーカーを切らなくても調べることができます。
右の青色が 「デジタル温度計」 です。
空調業界では一番メジャーな温度計です。
上側の先っちょを当てた部分の温度を測る「接触温度計」です。
今型は自動で電源OFFしてくれますが、僕のは古いタイプです。
電源スイッチが何かに当たって電源が入ると、電源は切れません。
その為、いざ使おうとした時に電池がない!ということがあります。(9V電池なので高い!)
クランクケースヒーターを加工して「当たり止め」にしてます。
このほかにも
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1716-2-600x450.jpeg)
左上の「フロン検知器」
ピンポイントでガス漏れを調査できます。
右上の「絶縁抵抗計(メガー)」
漏電を調べます。
下の二つは「テスター」です。
データーを取る場所
圧力
高圧・低圧の圧力を測るには、室外機のチェックジョイントに「圧力計」を接続します。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1689-600x450.jpeg)
業務用エアコンには必ず「高圧用」「低圧用」のチェックジョイント(サービスポート)があります。
写真のように「ここは高圧ですよ」とか記載されていないエアコンの方が多いので、自分で判断しなきゃいけません。
ルームエアコンのチェックジョイントは「冷房で低圧」「暖房で高圧」になります。
吐出・吸入・クランク温度
「吐出温度」は「圧縮機」の吐出管(細い配管)
「吸入温度」は「圧縮機」の吸入管(太い配管)で測ります。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1755-600x450.jpeg)
吸入温度は、大体一桁。
吐出温度は R22で80℃前後、新冷媒で60℃前後〜です。(あくまで目安です)
環境や気温、設置状況で変わります。
吸入温度が高い時は「ガス漏れ」が疑われます。
冷房時に低い場合は室内機の「フィルターや熱交換器の詰まり」が疑われます。
吐出配管には「吐出センサー」が付いています。
吐出温度が高い場合も「ガス漏れ」が疑われます。「冷媒回路の詰まり」もあります。
低すぎる時は「圧縮機の弁割れ」かもしれません。
いずれにせよ「圧縮機電流」や「圧力」、他の部分の温度を合わせて総合的に判断します。
「クランクケース温度」は圧縮機の下の方を測ります。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1756-600x450.jpeg)
「クランクケースヒーター」が取り付けている場合はその周辺を測ります。
その時に必ず「クランクケースヒーター」が切れたり、切れかかってないか確認をしてください。
雨や結露で濡れると確実に漏電します。
「クランクケース温度」は圧縮機の種類によって異なります。
液冷媒温度
「液温」は冷房・暖房で測定する場所が変わります。
冷房時は「室外機の熱交換器の出口配管」です。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1753-600x450.jpeg)
熱交換器の出口配管は「ディストリビューター」という集合管があります。
通常、その先には「膨張弁」か「キャピラリーチューブ(細管)」に繋がります。
「膨張弁」を通過すると温度が下がるので、「ディストリビューター」と「膨張弁」の間の配管の温度を測定します。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1753-1-600x517.jpeg)
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/ecbba90a7ee4c021b7fd2ab811df0eb8-600x471.jpeg)
「ディストリビューター」(ホウキみたいなやつ)も「膨張弁」もいろいろなタイプがあります。
暖房時は室内機と室外機を繋ぐ「液配管」の温度を測定します。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1681-1-600x450.jpeg)
通常 冷房・暖房共に 40℃前後です。
冷却風・冷温風温度
字で見るとわかりにくいですが、
「冷却風」はフロンガスを「冷やす(温める)」
「冷温風」はフロンガスで「冷やす(温める)」風の温度です。
余計に判りにくいですね。
「冷却風温度」は室外機の熱交換器を通過する風の温度です。
「冷却風入り口温度」は室外機周りの「気温」です。
「冷却風出口温度」は室外機のファンから出る温度です。
冷房なら熱く、暖房なら冷たくなります。
大体5〜10℃ぐらい温度差がつきます。
「冷温風温度」は室内機を通過する風の温度です。
「入り口温度」は室内機の風の吸い込み温度(フィルター側)
「出口温度」は吹き出す風の温度です。
温度差は大体10〜15℃ぐらいです。
どちらも温度差が大きすぎす時は「フィルターや熱交換器」の詰まりが疑われます。
運転電流
「運転電流」は通常「室外機の全電流」で測ります。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1750-600x450.jpeg)
「室外機の全電流」を測定する時は、室外機に入っている電源線のどれか一本をクランプします。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1745-600x480.jpeg)
必ず一本だけクランプします。
R S TどれでもOKです。
運転がかからない・様子がおかしい時は、R S Tのどれかが「欠相」している時もあります。
運転データーを取るタイミング
エアコンを運転してすぐはデーターになりません。
では、いつ測定したらいいの?と思うことでしょう。
データーを測定するタイミングは「液冷媒温度」が教えてくれます。
「液冷媒温度」が40℃前後になったらデーターの取り頃です。
暖房なら「暖房準備中」が抜けるタイミングですし、冷房なら室内機からの「ガス管」が冷えてくる頃です。
まとめ
今回は判りやすい機種で説明しましたが、室外機によっては場所が判りにくいこともあります。
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1748-600x450.jpeg)
圧縮機にカバーがしてあったり
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1747-600x800.jpeg)
吐出配管が奥にあったり
![](https://www.blacklob.com/wp-content/uploads/2020/05/IMG_1760-600x450.jpeg)
やたら詰め込んであったり、様々です。
しかし、基本は全て同じです。
頑張って冷媒回路を理解するしかありません。
ルームエアコンはデーターを取る箇所が限られて、
冷房なら、ガス管が「吸入温度」
暖房なら、ガス管が「吐出温度」 液管が「液冷媒温度」です。
パネルをバラせば全て測定できます。
各メーカー・メーカーの認定店のサービスマンならパソコンを繋いでデーターが測定できます。
室外機・室内機の温度や圧力全てのセンサーの情報が簡単に見れます。
ありがとうございました。