エアコンの圧力計 ゲージマニホールド

  • 2020年5月19日
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エアコンの工事・修理に必須アイテムの一つが「圧力計」です。

工事の真空引き、修理のフロンガス回収・充填など、この子がいないと仕事になりません。

そんな「圧力計(ゲージマニホールド)」を紹介します。

圧力計の取り付ける場所

圧力計は、エアコンの「チェックジョイント(サービスポート)」に取り付けます。

ルームエアコンなら、室外機のバルブに一つだけついているので迷いようがないですね。

業務用の大きいエアコンになると室外機に複数のチェックジョイントがあります。

業務用エアコンには必ず「低圧」「高圧」それぞれのチェックジョイントがあります。

修理・点検ではここに圧力計のホースを接続します。

左の青色が「低圧」。右の赤色が「高圧」になります。

写真のように「低圧」「高圧」と親切に表記してあるエアコンばかりじゃありません。

表記がない場合は自分で判断しなくてはなりません。

「圧縮機(コンプレッサー)」の吸入側(太い配管)が低圧、吐出側(細い配管)が高圧です。

配管バルブにも必ずチェックジョイントがあります。

このチェックジョイントは、室外機にある場合はバルブを閉めた状態では室内機側の配管のチェックジョイントになります。

工事の「機密試験」「真空引き」「フロン充填」、「ポンプダウン」の時はここにホースを接続します。

冷房時は、細い配管(液管)が「高圧」 太い配管(ガス管)が「低圧」

暖房時は逆になります。

チェックジョイントのサイズ

フロンガスの種類でチェックジョイントのサイズが違います。

R22・R404A・R407cは 1/4(2分)

R410A・R32は 5/16(2分5厘)です。

これは一般的な R22(旧冷媒)とR410A(新冷媒)の誤充填を避けるためにサイズが変更されました。

新冷媒と旧冷媒では使用する「冷凍機油」が異なるため、必ず圧力計とホースはそれぞれ使い分けるようにしましょう。

混ざると故障の原因になり危険です。

ムシ

ほとんどのチェックジョイントは「ムシ」が入っています。

「ムシ」のおかげでチェックジョイントのキャップを外してもフロンガスは出ません。

車のタイヤの「ムシ」と同じタイプなので「ムシ回し」は車用のが使えます。

チェックジョイントに「ムシ」が入っているので、圧力計を繋ぐにはホースに「ムシ押し」が必要になります。

ホースの先っちょのぽっちが「ムシ押し」です。

必ずホースに「ムシ押し」がついている側をチェックジョイントに繋ぎます。

「ムシ」は緩むと圧力が漏れます。

チェックジョイントからガスが漏れる場合は「ムシ」を「ムシ回し」で閉めてあげると止まることがほとんどです。

それでもダメなら「ムシ」自体を交換します。

ホースをチェックジョイントに繋ぐ時に締め付けすぎると「ムシ押し」が奥に逃げたり(410A)、変形します(R22など)

R410A用のムシ押しは「ムシ回し」で高さが調整できます。

チェックジョイントのキャップが「銅パッキン」でシールしてある時は要注意です!

このタイプは「ムシ」が入っていない場合があり、キャップを外すとフロンガスが吹き出します。

圧力が高いので一般人の力では再びキャップをつけることは非常に難しくなります。

チラーなどで見られます。

写真のチェックジョイントは違うタイプの「ムシ」が付いていて、大丈夫です。

見分け方は、チェックジョイントの根元の少し太くなっている部分の長さです。

こんなムシです。

ここの長いやつは「ムシ」内臓型です。

短いやつは確実に地獄行きです。

ゴムパッキン

ホースには「ゴムパッキン」入っています。

ホースの先っちょの黒いのが「ゴムパッキン」です。

この「ゴムパッキン」で漏れを防ぎます。

なのでこのゴムが無かったり、激しく傷ついているとどれだけ締めてもガスは漏れます。

この子はホースから一気に圧力を抜くと、いとも簡単に飛んでいきます。

しかも二度と見つけられません。

ホースを繋ぐ時にはこの「ゴムパッキン」を必ず確認しましょう。

傷が激しい時は、「ゴムパッキン」をひっくり返すとOK!

消耗品です。劣化したら新しいゴムに交換しましょう。

飽和温度

水は標準大気圧では100℃になると沸騰し、沸騰中は100℃以上にはなりません。

大気圧の低い高山では100℃以下で沸騰します。

フロンガスは冷媒回路の中で「液」と「ガス」両方の状態で存在します。

「液」と「ガス」両方の状態で存在するので、同じ温度の時には必ず同じ圧力になります。

これを「飽和温度」と言います。

エアコンの圧力計には「飽和温度」のメモリがついています。

上が R410A  下が R22  です。

R410Aの圧力が  0.5MPaの時の蒸発温度は 約-10℃

R22の圧力が  0.5MPaの時の蒸発温度は 約3.5℃です。

飽和温度を目安に修理や点検をします。

例えば、今の温度に対して圧力が低い場合は、エアコン内部のフロンガスが全て「ガス」の状態でガス不足(ガス漏れ)です。

凍傷に注意!!!

圧力のかかったチェックジョイントにホースを繋ぐ・外す時には激しくフロンガスが吹き出すことがあります。

飽和温度で分かるように、吹き出したフロンガスが大気圧(0MPa)で蒸発する温度は-40℃以下です。

非常に簡単に「凍傷」になります。

フロンガスと一緒に「油」も吹き出すので、ホースが滑ってなかなか回せなくなるのはあるあるです。

そんな極危険な接続・取り外しも「チャージバルブ」があると安全になります。

チャージバルブの「ダイヤル」を時計回りに回すと中のピンが下がり、「ムシ」を押してくれます。

ダイヤルを反時計回りにいっぱいに回すと「閉」になり、ホース内の圧力も逃さない優れものです!

 

「チャージバルブ」がない場合は必ず手袋をして、滑り止め&凍傷防止に「ウエス」を巻いて接続・取り外しを行いましょう。

 

特にエアコン運転中に「高圧側」のチェックジョイントに接続したホースを外すのは自殺モノです。

 

どうしても、運転中の高圧を外したい時は、真ん中のホースを「閉」の状態で、圧力計の「低圧」「高圧」のバルブを両方開き、「高圧」の液を「低圧」に逃した隙をついて外すと被害が少ないです。

 

まあ素直に運転を止めて圧力が下がってから外しましょう。

 

まとめ

圧力計は、工事をするにも修理をするにも絶対に必要です。

フロンガスの種類によって接続径が違います。

ガス回収時などの作業には「変換プラグ」や「変換ホース」を使用して接続します。

非常に高い圧力がかかるので劣化したホースは交換しましょう。

圧力計やホースの接続部は、油が付いているのでゴミを非常に拾いやすくなります。

必ずケースにしまうか、接続部分にゴミがつかないように対策しましょう。

ホースの端を地面に垂らすなんてもってのほかです。

ありがとうございました。