全熱交換器(ロスナイ)の交換 空調機のOA・EA・SA・RAって何?

  • 2020年5月29日
  • 工事
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天井型の小型の全熱交換器を入れ替えしました。

なかなか困難な状況での全熱交換器の入れ替えの方法と、空調機の基本であるOA・EA・SA・RAの紹介をします。

全熱交換器とは

全熱交換器とは、「換気」に使われる装置です。

換気扇などで「室内の空気」を「屋外」に排気すると、気圧差で窓から空気が入ってきます(自然吸気)。またはファンなどで強制的に屋外の空気を室内に給気します。

冷房で換気をすると、冷えた室内の空気を屋外に排気して、屋外の暑い空気を給気します。

「全熱交換器」は排気と給気の湿度を回収交換します。

冷えた「排気」と暑い「給気」の熱と湿度を交換します。

暑い屋外の空気を「全熱交換器」で冷えた室内の排気と「全熱交換」して室内の温度・湿度に近づけた状態で室内に給気します。

エアコンのロスが少ない「ロスナイ」(三菱電機)です。

暖房時は、冷たい空気を室内の排気で温めて給気します。

天井型ロスナイの入れ替え

小型のロスナイを交換します。

見た目は大きめな天井換気扇のようです。

パネルを外します。

お判りいだだけるでしょうか?

機械の「ミミ」が天井に乗っています。

機械は「寸切り」で吊り固定しているのでこの状態から上にも左右・前後にもピクリも動きません。

室内に「点検口」はありません。

遠くの「点検口」からも天井内が低すぎてたどり着けません。

新しいロスナイの格好寸法も同じです。

経験者ならこの絶望感がお判りいただけると思います。

通常なら近くに「点検口」を新設しての作業になると思います。

ご安心ください!この状態でも「点検口」を設けずに交換できるのです。

ただし、力技です。

古い機械を外す

この開口寸法では物理的に機械を下ろすことができません。

「それなら、機械を開口寸法よりも小さくしてしまいましょう!」

まず機械の中身をごっそり全部外します。

金具のビスが外せないので、もう金具の方を切っちゃいます。

外した中身がこちら

OA・EAのカラーは中から外せます。

残ったケースをチョキチョキ切っていきます。

ジャーン!これで吊り金具に手が届きます!

さらに曲げると見えました。

吊りボルトのナットを外し、寸切りも抜いてしまいます。

するとどうでしょう!開口寸法よりも大きかった機械が出てくるではないですか!

ズルズル、バーン!

力技はここまでです。取り付けはきちんと丁寧に行います。

このままだと、ゴミが嵩張って帰るのが大変です。

元どおりコンパクトにします。

エレメント

静止型全熱交換器の心臓部ともいえる「熱と湿度を回収交換」する部品がこちらの「エレメント」です。(全熱交換器には回転型もあります)

このエレメントは伝熱性・透湿性のある素材を何層にも重ねて作られていて、吸気と排気が混ざることなく全熱交換します。

段ボールみたいな構造です。

吸気と排気がこのストロー状の中を通ることで熱交換をするシンプルな仕掛けです。

エレメントが汚れで詰まった時は、エレメントの交換時期です。

新ロスナイを取り付ける

新しいロスナイは、下地にビスで縫い付けて取り付けます。

OA・EAのカラーは本体からスライドして取り外すことができます。

この施設ではOAをダクトで取り込んで、EAは天井内排気でした。

写真奥のエアコンが分解されているのは「力技」ではなく、社長が洗浄しています。

本体から外したOAのカラーにダクトを「アルミテープ」で固定します。

天井に機械を固定する「下地」を入れます。

今回は「WのMバー」を使用します。

機械を設置して、下からビスが打てるようにMバーを固定します。

OAのカラーを先に固定しておきます。

電気配線

「旧ロスナイ」と「新ロスナイ」では電気配線が違います。

「旧ロスナイ」では本体に「電源が2本」「リモコンわたりが3本」入ります。

「新ロスナイ」では本体に入る線は3本だけです。

赤が電源。緑がリモコンわたりの3芯です。

電源の「黒」と3芯の「白」をワゴで繋ぎます。

本体には3芯の「赤」と「黒」、電源の「白」を繋ぎます。

本体を固定します

線を通したら、機械を開口に嵌め込み、ビスで下地に固定します。

パネルも付けちゃいましょう。

落下防止も忘れずに!

リモコンも交換します

運転確認をしたら完了です!

空調機のOA・EA・SA・RA

空調機には OA・EA・SA・RA と4つの空気の流れがあります。

全熱交換で例えると、とてもシンプルで覚えやすいと思います。

画像は三菱電機さんからの引用です。

OA(outdoor air) 外気

OAは屋外から空調機に入ってくる空気の流れです。

屋外の新鮮な空気です。

SA (supply air) 給気

SAは空調機から室内に出る空気の流れです。

熱交換された空調機から吹き出される空気です。

RA (return air) 換気

RAは空調機に入る室内の空気の流れです。

空調機に吸い込まれる、室内の空気です。

EA  (exhaust air) 排気

EAは空調機から屋外に排出される空気の流れです。

覚えるのはこの4つだけです。

エアコンではRAにOAを混ぜてみたりします。

まとめ

天井タイプの全熱交換器はグリル部分でSA・RAをします。

RAは吸い込みなので「フィルター」がついています。

全体で見ると

こんな感じです。

全熱交換器は今回のように小さいものから、機械室に設置されてるバカでかいものまで様々ですが、基本的な構造は同じです。

OA・EA・SA・RAを理解するにはもってこいだと思っています。

ありがとうございました。